3.9 miles projectでは、銚子の挑戦インフラを創ることを掲げ、分散型ホテル構想の推進や様々な挑戦者と共に新しい場づくりや事業を展開しています。今回は、3.9 miles projectの代表である大樹不動産株式会社の渡辺社長に新たにまちづくりに挑戦する想いやプロジェクト立ち上げに至った背景についてお聞きしました。
地域に根差した不動産会社の未来を考え続けていた
・・・まず初めに大樹不動産の事業内容について教えてください。
先代の父が立ち上げた当初は譲住宅や土地開発を主とした事業をやってまいりましたが、私が引き継いで以降、土地や物件の企画開発、宅地造成を主にアパート経営や土地のお貸し出し、店舗等の商業施設の賃貸業等、銚子に根差して事業活動をしております。また、太陽光発電事業も始めました。
・・・地元のバスケットボールの大会や野球の大会もサポートされていると聞いておりますが、なぜそのような活動をしているのですか?
まずバスケットボールの大会についてですが、5年前からスポンサードさせていただいています。野球はもともと父の代からサポート活動をしておりまして、その大会がなくなってしまいますと、この地域の子どもたちがどれだけ頑張っても、また、チームが強くても、全国大会に行くことができないということ知り、継続しております。また、弊社がスポンサードしています東総地区の大会である大樹杯で優勝したチームが昨年、全国3位という成績を収めました。最近では八日市場のチームが、Yahoo!ニュースに取り上げられ、これまでその大会を通して何名かプロ野球選手にもなっています。
※大樹杯という冠になっていますが、東総地区野球大会が公式名称です。
バスケットボールの話に戻りますが、市内大会と銚子カップという千葉県でも幅広く、高校生と中学生が集まる大会の開催をサポートさせていただいておりまして、トロフィーやメダルの提供に対して協賛させていただいています。
・・・今回立ち上げた3.9 miles projectの着想のきっかけを教えてください。
従来ある地域に根ざした不動産業の行く末を考えた時に、どんどん人口が少なくなっていく中、今までやってきたことだけでは事業として継続していくことは難しいのではというのが頭にありました。実際、空き家も増えてきましたので、この状況を悲観するのではなく、それらを活用し事業に出来ないかという想いから新たな取り組みを模索し始めたのがきっかけです。
むしろ今じゃないと遅い!と直感したプロジェクト始動のきっかけ
・・・何年前くらい考えられていたのですか?
ちょうど日本でも新型コロナウィルスが蔓延した時、行動制限がかかり、家にいる時間が長く人と接触する機会も減りました。とはいえ、いずれ終わる時期がくると思っていましたので、そこを見据えて、不動産業として今後何をやっていくかを考えた時に、まちづくりに向き合うべきだと感じました。
・・・なぜこのタイミングで3.9 miles projectを始動しようと意思決定したか教えてください。
副代表である和泉くんが、いずれ外川町で何か出来ないか、あの景色や古い建物を残していけないかと先に挑戦を始めていた中で、様々な良い報告を受けていましたので、事業としての可能性を確信しました。また、建築設計士の土田先生との出逢いもあり、次の物件をどうしようかと検討をした時に、自分の周りを見渡して、直感的に「今だ!」と思いました。こういう時は、なにかうまく表現できませんが、パズルのピースがバチっとはまる感覚がありまして、「むしろ今じゃないと遅い!」という感覚になりました。
銚子の産業が発展させた先人たちから学び、銚子という名前を全国に轟かせたい
・・・3.9 miles projectで実現していきたいことを教えてください。
まずは様々なことに挑戦したい、挑戦し続けたいです。事業はもちろんですが、3.9 miles projectに加わって何かこういうことをしたいという人をこの街で増やし、紀州から移り住んで、この街を開拓し江戸時代では関東で3本の指に入る経済圏まで発展させた先人たちに倣って、銚子という市の名前を全国に轟かせたいと思っています。
・・・普段、渡辺さんは仲間と共に成長し合うとおっしゃっていると思いますが、その考え方が3.9 miles projectの大きな概念にも軸としてあると感じています。そのあたりの心意についても教えてください。
代表という役職についてやっていく中で、自分だけの力ではどうしようも出来ない壁にぶつかりましたし、そういった色んな方がいて、初めてなにかが出来る事を体感したことが大きいです。互いの想いややりたいこと、挑戦したいことをぶつけあって、一緒に街をより良くしていく中で、成長し合えることが1番幸せを広げていくことに繋がると感じています。
新しい挑戦に伴走することで今までと違う価値が生まれるワクワク感がある
・・・新しい商売を始めたい、活動を始めたい方にとって、3.9 miles projectがもたらす価値は大きいものがあると感じています。挑戦の敷居を下げることや大樹不動産が先行投資の一部をサポートしてあげることで、事業活動をスタートする際の金銭的・精神的ハードルを下げる事をやってきたと思いますが、それを始められた最初のきっかけは何かありましたか?
些細なことですが、不動産事業をやっていることで新たな挑戦をしたい、こんなことをしたいというご相談を受ける機会が多く、全部に対してお力になることはできないかもしれないですが、弊社の物件を利用していただくにあたり、ここまでであればお手伝いできるといった対話をずっとやってきました。なぜそのような考えに至ったかと言いますと、その方が何かを始めたことによって自分がやっていることに新たな価値が付け加わって、また違う価値が生まれるというワクワク感を抱いたからだと思います。
街のどこにいても挑戦したい想いが飛び交う銚子の姿を創りたい
・・・理想の銚子の姿や、理想の景色をどのように見据えていますか?
一人ひとりが挑戦していきたいということを街のどこいっても日常的にディスカッションしているような銚子の姿を思い描いています。想いが伝播してワクワクが日常に溢れている景色を見たいですね。
・・・既に他の地域で成功モデルがあった上で銚子に進出したいという要望を受け入れてテナント貸しすることがある意味、商売的に確実性が高い部分もあると思う一方で、何かやりたい、挑戦したいという新規性の高いことは不確実性が高いと感じます。そのような中で、敢えてその人と一緒にやりたいと思う理由についてお聞きしたいです。
確かにおっしゃる通り、他地域のまちづくりの成功例がある方が進出されて、商売を展開した方が確かに成功確度は高いのかもしれません。ですが、私は銚子で生まれ育ちましたので、地元から新しい価値を生みたい想いがありますのと、街をどのように創っていくかの舵取りは地元に根差した人が推進し、他地域の方も巻き込みながら一緒にまちづくりしていけることが1番良い形であると感じています。
・・・銚子にとって3.9 miles projectをどのような位置付けにしていきたいですか?
プロジェクトに関わる仲間に相談すると、親身になって、良いことも悪いことも一緒に自分事として捉えて議論できるような、ここに来れば何か色々相談乗ってもらえる、挑戦を始めていくことができると認識され輪が広がっていくような取り組みにしていきたいです。
この地をうまく使いこなし産業も人の暮らしも豊かにしたい
・・・3.9 miles projectは外川エリアでの分散型ホテル構想から始まりますが、事業承継のような地域の課題や地域の名産品を銚子から全国に展開していく取り組みもやっていきたいというお聞きしました。今後の具体的なイメージがありましたら教えてください。
事業承継、担い手不足は地域の課題として浮き彫りになっていくと考えています。そういった事案は、これからどんどん顕在化していくと思いますが、大事にしたいこととしましては、一緒に事業をアップデートして銚子から発信していくという姿勢です。また、何か残したい技術やノウハウを後世に紡いでいく活動を手掛けられたらと考えています。
・・・普段のお仕事から色々な情報に触れられると思いますが、どのような瞬間にワクワクしますか?
普段から色々な雑誌や情報に触れるようにしています。その中で、潜在的に自分の中で思っていた「こうしたい」というものと触れたものが繋がる瞬間、一気に景色が広がっていく感覚があり、ワクワクしますし、イメージが無数に出てくる感覚で、発想がどんどん湧いてきます。良い意味でこうしなければいけないという考えがない分、フラットに頭の中にある点と点が脳内思考の中で繋がり、タイミングや流れを読みながら、人に話しながら形にしていきます。そのような一連のプロセスが、舵取りという意味では、原点というか大元にあるのだと感じています。
・・・最後に渡辺さん自身のこれから挑戦したいことを教えてください。
不動産事業を展開しているということもありますが、この街をどれだけ産業としても人の暮らしにおいても、この地をうまく使いこなせる状態にしていけるかという観点で正解のない挑戦をしていきたいです。
この街は私が生まれ育った場所であり原点ですし、不動産業というアプローチから様々な仲間と共に産業も暮らしも良くしていきたいと思います。